東京大学で生み出された発明と企業をつなぐエージェント集団

ホワイト企業ナビ編集部です。
まずはじめに、株式会社東京大学TLOの事業内容をお伝えします。

同社のミッションは東京大学で生み出された発明を世の中に広めることであり、研究成果の実用化のため、研究室から産業界へ技術の橋渡しを行う役割を担っています。

東大発の研究成果・知財を産業界を通じて社会に届けるため、さまざまな取り組みを行っている企業です。
※TLO：Technology Licensing Organization（技術移転機関）の略称

＜事業内容＞
◯大学研究者からの発明インタビュー
◯知的財産権（特許、著作物など）の調査・評価
◯特許出願、権利化及び権利維持の管理・支援業務
◯知的財産権のライセンシング活動、ライセンシング活動に伴う契約締結業務
◯東京大学と民間企業の共同研究の創出業務　など

【東京大学の100%子会社】パイオニアとしてのノウハウが強み

同社は東京大学の100%子会社として盤石の経営基盤を持っていることに加え、事業内容は産学連携の一角を担うものであり、国が政策の中で必要としているため、その需要が途絶えることはなく、安定した経営を実現しています。

また、発明と企業をつなぐ同社の業務は人の介在が必ず必要となるため、AIに代替されない仕事と言われていることからも、長期的に働けることがわかりますよね。

このほか、同社は国内で最初に認められたTLO（技術移転機関）のひとつであり、全国のTLOが集まる研修の講師を務める社員が複数在籍するなど、パイオニアとして培ってきたノウハウを強みに、業界内で確固たる地位を築いています。

社員それぞれのマイペースを尊重する関係性

同社では2011年から本格的に新卒採用を開始し、これまで13名の新卒人材を採用していますが、その中で辞めたのはたった1人だけです。（2023年9月現在）

なぜこれほど新卒が定着するのか。
その要因の一つとして考えられるのが、社員同士の関係性です。

同社では社員がお互いの”マイペース”を尊重しており、近すぎず遠すぎずの程よい距離感を大切にしているため、無理な付き合いもなく、プライベートを大切にできます。

だからといってドライな関係というわけではなく、困ったときには周囲がしっかりサポートしてくれる温かさもあるため、非常に居心地の良い環境になっているとのことでした。

みんなで会社をつくるという意識を大切にしている

同社では役職や経験年数に関わらず、それぞれが経営的な視点を持って仕事に取り組むようにするなど、”みんなで会社をつくる”という意識を大切にしています。

実際、年に1回の頻度で社内の改善提案に関するコンテストを開催しており、そこで採択された改善案を導入するなど、全員で組織づくりを行っているそうです。

また、従業員が40名程度（2023年9月現在）のため、経営陣との距離が近く、社長含め誰にでも相談しやすいという小規模企業ならではの特徴も相まって、若い人でも提案しやすい雰囲気になっているとのことでした。

【月平均残業9.5時間】フルフレックスや在宅勤務を積極活用

同社ではフルフレックスタイム制を導入しているため、働き方を柔軟に調整しやすいです。
また、在宅勤務も推奨しており、多くの社員が週の半分程度を在宅、残り半分を出社とするなど、制度を有効活用しているそうです。

このほか、オンラインミーティングを積極的に活用するなど、効率性を意識して働く社員が多く、社内には残業しない風土が醸成されているとのこと。

同社では45時間のみなし残業を設定していますが、全社平均の月平均残業時間は9.5時間とみなし残業を大きく下回っているのも、上記のような制度の有効活用や残業に対する意識の高さによるものだと編集部は感じました。

東京大学と企業の橋渡し役として活躍する総合職の仕事

総合職として採用された場合、営業職もしくはスタッフ職に配属となります。
それぞれの仕事内容は以下のとおりです。

◯営業職（ライセンスアソシエイト）
東京大学で生まれた発明が実用化されるまでを主導的な立場で担当する職種です。
・発明者に対する発明内容のヒアリング
・特許性や市場性の調査、特許出願の手配
・マーケティング（発明の事業化に関心を持っていただける企業の探索など）
・発明内容の紹介と事業化の提案
・ライセンス条件交渉（企業の開発計画に合わせた条件交渉）
・ライセンス契約の締結　など

◯スタッフ職
経営企画・総務人事・経理・広報・知財管理などの業務を横断的に担当する職種です。
不定期でジョブローテーションがあり、様々な業務を経験できるほか、多様な視点や幅広い知識等を身につけることができます。
特有の仕事としては、知的財産管理業務（年間約1000件を超える東京大学の特許出願に関連する情報や手続き期限の管理などを担当）があります。

独り立ちまで十分なサポート期間があるので安心

入社後、まずは新人研修において基本的なビジネスマナーや業務に必要な特許や契約に関する講座など、基礎部分を学びます。

また、並行してOJTという形で先輩社員に同行しながら、仕事の流れなどを覚えます。
入社から約6ヶ月は同行がメインとなり、その後徐々に担当案件を持ちながら独り立ちする流れですが、慣れるまでしっかりとしたサポートがあるので安心してください。

このほか、各TLOによって組織されているUNITT（大学技術移転協議会）という団体が開催する研修にも参加しており、専門知識の習得や事例検証などを行うほか、他大学のTLOとのネットワークを広げる機会にもなっています。

大学と企業を結ぶ”仲介者”ならではの経験が魅力的

同社で取り扱う業務範囲は非常に幅広く、特許などの知的財産や契約など、さまざまな知識が身につくほか、関わる業界や企業も多岐にわたるため、業界知識はもちろん、自分自身の視野も広げることができます。

また、東京大学と各企業を結ぶ”仲介者”として常に仕事を行うため、物事を進める際に必要となる段取りする力や調整力、周りを巻き込む力などが磨かれます。

何より、東京大学で生み出された最先端の発明に誰よりも早くふれることができ、その発明を社会に還元する一端を担えるというのは、同社でしか感じることのできない大きなやりがいといえます。

東京大学TLOで働く上で理解しておくべきこと

ホワイト企業ナビ編集部では、この求人を見た人が入社後に「イメージと違った」というミスマッチを起こさないよう、合わない人の特徴等についても隠さずお伝えしています。

東京大学TLOの場合、以下のような人とはミスマッチになる可能性が高くなります。
また、一つの案件だけを担当するのではなく、複数の発明を掛け持ちしながら仕事を進めるため、進捗管理などが大変な点は、事前に理解しておいてほしいとのことでした。

◯一人で黙々と仕事を進めたい人
同社の役割は大学と企業の橋渡しであり、さまざまな相手とのコミュニケーションがベースとなるため、常に人と関わりながら仕事を進めなければなりません。

◯フットワークが重い人
専門性が高く、難しい業務も多いことから、わからないことをわからないと質問するなど、フットワーク軽く行動することが求められる仕事です。

◯マニュアル通りにしか仕事ができない人
発明ごとにやるべき仕事や進め方は異なるため、いつも決まった仕事ではなく、状況に応じて常に考えながら行動しなければ務まらない仕事です。

編集部が考える東京大学TLOのホワイトポイント

今回の取材を終えて、ホワイト企業ナビ編集部が感じた株式会社東京大学TLOのホワイトポイントは以下の2点です。

①代えのきかない存在という安定感
”東京大学で生まれた発明と企業をつなぐ”という代えのきかない存在であることに加え、東京大学の100%子会社という経営基盤、国の政策の方向性と合致した事業の展開など、同社にしかない安定性の高さは、まさにホワイトポイントだと感じました。

②メリハリをつけながら自分らしく働ける環境
「社員それぞれのマイペースを尊重する関係性」や「みんなで会社をつくる意識」など、個人が自分らしさを大切にしながら働ける環境があるだけでなく、制度の有効活用や効率的な働き方などによってメリハリをつけながら働ける点は、同社のホワイトポイントです。

以上の2点こそ、編集部が感じた東京大学TLOのホワイトポイントになります。
「TLOの役割に魅力を感じた人」「代えのきかない仕事をしたい人」「一緒に会社をつくっていきたい人」にこそ、ぜひ注目してほしい企業です。