【優良企業の利益率の目安は?】計算方法や判断基準を解説!

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この記事では、利益率の計算方法や優良企業の利益率の目安についてバシッと共有します!

求職者のみなさん、こんにちは!

累計2000万PVを突破した日本最大規模の就活ブログ「就活攻略論」を運営している就活マンです。

(これまで7年間、ほぼ毎日、スタバにこもって1500以上の記事を書き続けてきました。就活や転職についての知識は誰にも負けない自信があります!… その代わりに友達が少なく、寂しく生きていますが笑

企業研究を進めるにあたって、各社の業績は必ずチェックする項目の1つだと思います。

でも、決算情報を見ていると売上高や営業利益などいろいろな数字が出てきますよね。

どの数字を見れば企業の業績が判断できるのか、迷ってしまう人もいるはず。

僕が就活をしていた時には、必ず「利益率」をチェックしていました。

慣れればサクッと調べられる上に、企業の業績を知る上でとても参考になるからです。

今回は、利益率の計算方法や業界ごとの利益率の目安について解説します。

優良企業かどうかの判断基準と利益率の関係についても触れているので、ぜひ最後まで読んでいってくださいね!

そもそも利益率とは?

利益率という言葉は誰しも聞いたことがあると思うのですが、結局のところ何を表しているのか説明するのは簡単ではありませんよね。

そもそも利益率とはどういうものなのか、はじめに整理しておきましょう。

利益率の計算方法について

利益率の計算方法はシンプルで、次の計算式に当てはめればOKです。

【利益率の計算方法】

  • 利益率(%)=利益÷売上×100

実際に計算してみましょう。

「就職四季報」には企業の業績が掲載されています。

2023年版の就職四季報を見ると、たとえば「味の素株式会社」の2021年度3月期の業績は下記の通り。

  • 売上高:1,071,453百万円
  • 営業利益:101,121百万円

101,121÷1,071,453×100=9.437…となるので、この企業の利益率は「9.44%」ですね。

営業利益と売上の違いを把握しておこう

利益率は、売上に対する利益の割合を表しています。

仮に、ある商品の販売額が全て利益になるとしたら、利益率は100%というわけです。

でも、実際には商品を販売するためには仕入れ原価や人件費、広告費、店舗の維持費などがかかっています。

そこで、売上をつくるためにかかったコストを差し引いて残った「儲け」を把握する必要がある。

この「儲け」のことを「営業利益」と呼びます。

売上が大きいと経営が順調な企業のように見えるのですが、コストが膨れあがっていれば営業利益は小さくなってしまう。

コストが売上を上回っていると、営業利益はマイナスになります。

この場合、営業利益ではなく「営業損失」と呼びますね。

いわゆる「赤字」の状態です。

逆に営業利益が大きいということは、本業でしっかりと利益を確保できているということ。

つまり、それだけ経営がうまくいっていると判断できるわけです。

「利益率が高い=優良企業」ではない点に注意

利益率が高い企業は経営がうまくいっているわけだから、優良企業と考えていいんでしょうか?

実は、利益率が高い=優良企業とも限りません。

利益率を上げるには、2通りの方法があります。

  • 現状のコストで売上を伸ばす
  • 現状の売上でコストを抑える

前者はまだ良いのですが、問題は後者の方法で利益率の改善を図るケース。

企業にとってのコストには人件費も含まれています。

社員のボーナスを下げたり手当をカットしたりすれば、利益率はより高くなるわけです。

実際、企業としてはしっかり儲かっているはずなのに社員の平均年収があまり高くない企業や、福利厚生など社員向けのサービスが充実していない企業は存在します。

つまり、利益率が高い=社員を大切にしている企業とは限りません。

「利益率が高い=儲かっている=社員も好待遇に違いない」と勘違いしやすいところなので、この点は十分に注意してくださいね。

優良企業かどうかは、あくまでも働いている社員にとって良い企業かどうかで決まる。

ここは誤解のないように、必ず覚えておいてくださいね!

利益率が高いと聞くと、良い企業に違いないと思ってしまいがちでした…。たしかに、優良企業かどうかは働く側の受け取り方しだいなので、業績とは分けて考えることも必要ですね!

優良企業の利益率の目安は業界ごとに異なる

各社の利益率をリサーチする際、もう1つ注意するべき点があります。

それは、利益率の目安は業界によって異なるという点。

業界ごとに製品やサービスを提供するためにかかるコストに差があるので、平均的な利益率にも差があるというわけですね。

例として、IT業界・小売業界・不動産業界でそれぞれ優良企業をピックアップしましたので、各業界の利益率を比較してみましょう!

【優良企業の利益率の目安は業界ごとに異なる】

  1. IT業界の優良企業の利益率
  2. 小売業界の優良企業の利益率
  3. 不動産業界の優良企業の利益率

例① IT業界の優良企業の利益率

一般的に、IT業界は利益率が高い業界と言われています。

産業分類別に見ると、平均的な利益率は下記の通りです。

【IT業界の平均的な利益率】

  • ソフトウェア業:8.1%
  • 情報処理・提供サービス業:9.0%
  • インターネット付随サービス:14.0%

(経済産業省「2021年企業活動基本調査」を元に算出)

ただ、上記はあくまでも全体の平均値。

優良企業の中には、平均を大幅に上回る高い利益率を叩き出している企業もあります。

たとえば次に挙げる3社は売上規模こそ異なりますが、いずれも利益率の面では非常に優れた実績を挙げている企業ばかりです。

売上高 営業利益 利益率
株式会社オービック 83,862百万円 48,077百万円 57.3%
AI inside株式会社 4,597百万円 2,360百万円 51.3%
株式会社ユーザーローカル 1,952百万円 813百万円 41.6%

例② 小売業界の優良企業の利益率

次に、小売業界の利益率について見ていきます。

小売業は販売する商品を仕入れたり店舗まで配送したりする関係上、利益率が高くなりにくい業界と言われています。

小売業全体で見ると、利益率の平均は2.8%です(経済産業省「2021年企業活動基本調査」を元に算出)。

一方で、他業種にも見劣りしない利益率の優良企業もあるのは事実。

たとえば、次の3社は利益率が高いことで知られています。

売上高 営業利益 利益率
株式会社セブン-イレブン・ジャパン 850,291百万円 233,321百万円 27.4%
株式会社ワークマン 105,815百万円 23,955百万円 22.6%
ニトリグループ 716,900百万円 137,687百万円 19.2%

例③ 不動産業界の優良企業の利益率

さて、3つ目は不動産業界です。

不動産業は高額取引になることもめずらしくないため、利益率が高い企業が多く見られます。

業界全体で見ると、利益率の平均は11.1%です(公益財団法人不動産流通推進センター「2021不動産業統計集」より)。

業界自体が高利益率なわけですが、その中でもさらに高い利益率を実現している企業があります。

一例として、次の3社は非常に利益率が高い企業ですね。

売上高 営業利益 利益率
京阪神ビルディング株式会社 15,333百万円 5,295百万円 34.5%
ヒューリック株式会社 339,645百万円 100,596百万円 29.6%
中央日本土地建物グループ株式会社 93,796百万円 18,804百万円 20.0%

なぜ利益率が高い企業は優良企業になりやすいのか?

先ほど「利益率が高い=優良企業」とは限らない、と言いました。

でも、実際には「優良企業には利益率が高い企業が少なくない」のも事実。

なぜ利益率が高い企業は優良企業になりやすいのでしょうか。

ここには主に3つの理由があると考えられます。

経営が安定していて社員を大切にする余裕があるから

企業が社員を大切に扱うには「お金」が必要です。

労働力に見合った十分な給与を支払うことも、充実した福利厚生を用意することも、お金がなければ実現できません。

世の中には「本当はもっと社員を大切にしたい」「社員により良い暮らしをして欲しい」と考えている経営者の方はたくさんいらっしゃると思います。

でも現実問題として、会社がしっかり儲かっていなければ社員を大切にしようにもできない。

赤字が何年も続いていたら、「社員に住宅手当を支給しよう」とか「きちんと休んでリフレッシュしてもらおう」などと考える余裕はありませんよね。

結果的に、利益率が高い企業ほど経営に余裕があって社員を大切にすることもできる。

恋愛にたとえるなら、付き合っている相手にプレゼントを買いたいと思っていても、自分自身の生活もままならない収入では実現できないのと同じです。

経済的余裕が心の余裕を生む。

これは個人でも企業でも同じです。

世の中で高く評価される独自の強みがあるから

利益率が高い企業には、必ず何らかの「理由」があります。

ビジネスモデルが優れているとか、扱っている商品に他社にはない強みがあるとか、企業によって理由はさまざまでしょう。

ただ1つ言えることとして、世の中で高く評価される独自の強みが利益率の高さとなって表れているわけです。

世の中から支持を得られないような間違った手段で一時的に利益を確保したとしても、そんな経営は決して長続きしません。

たとえば、「他社よりも安い」ことを売りにして商品を提供している企業があるとします。

価格の安さに惹かれて購入してもすぐに壊れて使えなくなったり、アフターサービスが劣悪だったりすれば、消費者は二度とその企業の商品を購入しなくなるでしょう。

逆に、価格が特に安いわけではなかったとしても、他社にはない付加価値を感じられる商品なら消費者は選び続けてくれます。

こうした独自の強みは企業の競争優位性となり、利益率にも反映されていくはず。

利益率の高い優良企業は、最小限のマンパワーで高い成果を挙げることができる。

だからずっとその企業で働き続けたいと思えるような、快適な環境を提供できるわけです。

広く支持される企業文化が根付いているから

企業が高い利益率を維持するには、優れた企業文化が根付いている必要があります。

小手先のテクニックで一時的に利益を確保しても、広く支持される魅力的な企業文化がなければ長続きしないからです。

優れた企業文化が根付いていれば、社員はもちろんのこと顧客や取引先、さらには株主からも支持を集めることができる。

企業のファンが増えていき、ファンの存在そのものが企業の強みになっていくわけです。

反対に、企業として誇れるような文化が根付いていないと、利益を確保するために社員を雑に扱いがちになる。

典型的な例が、極端な低賃金労働ですね。

人件費を削れば、一時的に利益を確保することはできるでしょう。

でも、企業を動かしているのは「人」ですから、社員に愛想を尽かされてしまえば安定経営を続けることは難しい。

結局、支持され続けるのは「社員を大切にしている企業」「社員から愛されている企業」ということになる。

魅力的な企業文化が根付いていることが結果として利益を生み、高い利益率を維持していくことにも繋がっていくわけですね。

就活や転職において利益率が高い企業に就職することの重要性

就活や転職で企業を探すとしたら、できるだけ利益率の高い企業を見つけることが重要だと思っています。

なぜ利益率が高い企業に就職・転職することが大事なのか、2つの視点から解説しますね。

利益率が右肩上がりの成長企業の方が給料や役職が上がりやすい

利益率が右肩上がりで順調に伸びている企業は、いわゆる「成長企業」です。

儲けが年々増えているわけですから、企業として勢いがあります。

そういった勢いのある企業は若手社員に重要な仕事を任せたり、新規事業を積極的に立ち上げたりする傾向がある。

つまり、社員にとって成果を挙げられるチャンスも多いわけです。

若いうちから優れた成果を挙げていけば、給料や役職も上がりやすいでしょう。

もし衰退企業に就職・転職してしまったら、なかなかそうはいきません。

企業全体として業績が悪化しているようでは、若手社員にチャンスを与えるどころではないからです。

チャンスがほとんどなければ限られた範囲でしか成果を挙げられませんし、給料や役職も上がらない状況が続くでしょう。

せっかく就職・転職して働くなら、自分が携わる仕事がより高く評価されるほうが良くないですか?

利益率が右肩上がりの成長企業を探していくことで、入社後の活躍の場を広げることに繋がるのです。

長期的な需要のある業界・事業で利益率が高い企業は安定性が高い

長期的な需要が見込める業界・事業で、かつ利益率が高い企業は経営が安定しています。

一時的なブームではなく、普遍的に必要とされる製品やサービスを扱っている企業は強いんですね。

さらに、高い利益率を出し続けるビジネスモデルが確立していれば、将来にわたって収益を上げ続けられる可能性が高い。

ただ利益率が高いだけじゃなく、長期的な需要が見込めるかどうかがポイントです。

たとえば、タピオカドリンクが主力事業の企業が高い利益率を叩き出しているとします。

一時的には業績好調かもしれませんが、タピオカブームが去ってしまったら業績が悪化するリスクが高い。

一方、多くの人が日常的に食べている加工食品を製造している企業なら、流行に左右されることなく必要とされ続けるでしょう。

人が食事を摂るという行為は、流行やブームによって左右されるものではありませんからね。

「長期的な需要が見込める」+「利益率が高い」の2つの条件を満たしている企業を優先的に探していくと、優良企業が見つかる確率を高められますよ!

次の記事では、利益率のほかにも優良企業を見分けるためのポイントを解説しています。

こちらもぜひ読んでおいてくださいね!

» 【優良企業の特徴10選】優良企業だと判断するための特徴を解説!

利益率が高い=優良企業とは限らないけれど、優良企業の条件を満たしているなら利益率がより高い企業を選んだほうが将来性がありそうだね!

扱っている商品やサービスがどういうものか、長期的な需要が見込めるかどうかを判断することも大切だね!

本記事の要点まとめ

最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました!

この記事では、優良企業と利益率の関係や、各業界の利益率の目安について解説してきました。

民間企業である以上、どんなにきれいごとを並べても「儲け」がなくては経営が成り立ちません。

経営者が「社員を大切にしたい」「社員に充実した人生を送ってほしい」と理想を掲げていても、肝心な経営がうまくいっていなければ実現できないわけです。

その意味で言うと、優良企業を見分ける観点の中に「利益率」を含めておくことは非常に重要。

利益率が高い企業が結果的に優良企業になりやすく、かつ働いていて得られるメリットも多いからです。

ただし、利益率だけを見て判断するのではなく、社員を大切にしているのかどうかを総合的に分析することがとても大事なので、そこは忘れないようにしてくださいね!

みなさんの就活・転職が十分に納得できる形で終えられることを、いつも心から願っています。

▼本記事のまとめ

  • 利益率は売上に対する利益の割合を示しており、「利益÷売上×100」で算出できる。
  • 売上が多くても利益が確保できていなければ経営がうまくいっているとは言えないため、利益率を必ず確認しておくべし。
  • 優良企業かどうかは働いている社員にとって良い企業かどうかで決まるので、利益率が高ければ必ず優良企業というわけではない点に注意が必要。
  • 利益率の目安は業界ごとに異なることから、業界水準を知っておくことが大切。
  • 利益率が高い企業は優良企業になりやすく、就職先や転職先として選ぶメリットも多い。

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この記事を書いた人

就活マン(藤井智也)

日本最大規模の就活ブログ「就活攻略論」を運営。
大学時代に中堅大学から超高倍率の食品メーカーからの内定を獲得後、1年で退社し独立。これまで執筆した就活記事は1200記事を超える。

この記事を監修した人

藤九 亮輔

国家資格「キャリアコンサルタント」を保有。
元大学キャリアセンター職員。
就活記事のライター歴5年。現在はホワイト企業ナビの編集部として活動中。

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